う〇こな二人

朝のターミナル駅。
私のお腹がピンチであった。
しかし、臆することはない。想定の範囲内のトラブルだ。
思慮深い(小心とも云う)私は面談の時間まで十分な余裕をとってある。
トイレに行くと、幸いにして、すぐさま並んだドアのひとつが開き、大きなスーツケースを引っ張った若者が出て行った。
相当に焦っている感じだ。

新幹線に乗り遅れる、といったところか。
青いな、若いの。
私くらい思慮深く(小心とも云う)あれば、うろたえることもないのだよ。

すると、棚の上に革のケースに入ったスマートフォンが目に入った。
さっきの人が忘れていったものだろう。
あとで駅の窓口に届けることにしよう、そう考えて用を足していたその時、突然ドアを激しく叩かれた。
「すみません!そこにケイタイがありませんか!?」
と、先ほどの若者らしき人が叫びに似た問いかけを、ドア越しに投げかけてくる。

(小さな声で)「ありますよ~、ちょっと待っててね~」

私はなにも悪くない。だから私が出るまで待たせたってよいはずだ。
しかし、その人は「ああ」とか「うう」とか唸っている。「はやくして~」という心の叫びが伝わってくるようで落ち着かない。
っていうか、出るものも出ない。

仕方ない。私は決意した。
一度行為を中断し、服装を整え、ドアをちょっとだけ開き、そこからスマホを差し出した。
スマホは奪われた。
すぐさま扉を閉めた。

「ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!」
と大きな声で叫びつつ、スーツケースを引きずる音とともにその人は去って行った。

別に何か見られたわけでもないのに、私は、なぜかう〇こを漏らした小学生ような絶望的な気持ちになって、少なくとも10分経ってからここを出よう、と決意したのだった。






テーマ : 日々のつれづれ
ジャンル : 日記

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なお

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相棒はDUCATI MONSTER696とHONDA solo。
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