お互いもっと努力しましょう(「コトノバドライブ」芦名野ひとしさん)

今夜のワタクシは辛辣に参りたいと思います。
と申しますのは、週の最後のお楽しみに買ったマンガに非常にがっかりしたのです。
というわけで、芦名野(あしなの)ひとしさん「コトノバドライブ」の感想です。
150206コトノバドライブ
「だれにも言わない。わたしの5分。」という表紙のキャッチコピーにあるとおり、ある女の子の生活の中で、ふと入りこんだ内面世界をファンタジー交えて描くという作品です。

150206コトノバドライブ
主人公がホンダのDAXを買ったところから始まるので、バイクマンガかと思いました。
でも、なんだろ、この強烈ながっかり感は。

がっかりな理由を考えてみました。
 ・過去の作品「ヨコハマ買い出し紀行」と出てくるモチーフやアイテムが同じ
   →退廃した世界感、コーヒー、カメラ、原付バイクなど
 ・同じファンタジーネタが繰り返される
   →空から自分を俯瞰する、動物(虫の精?)が人として現われる、もう使われてないものが復活している、など
 ・基本的に過去を振り返るばかりで未来がない
   →読者は「未来」を求めていると思う
 ・マンガとしての表現に工夫が欠ける

3話あたりまではまだ読めたんです。
でも、それからは同じようなネタの繰り返しのような気がしますし、どんどんファンタジーも過剰になって、「もうネタが尽きたのかな?」と思ってしまいました。

主人公の内面描写って難しいものがあると思います。
グルメマンガやバイクマンガだったら、主人公が独り語ちても、読者の「あるある」感で共感を得やすいと思うのですが、「雰囲気マンガ」だと、自分に酔っている感じがしてしまいがちです。そうなるともうキモくてアウトです。
実は、「ヨコハマ買い出し紀行」もそれを感じた時点で読むのをやめてしまったのですが、今回は装丁に騙されました。
装丁デザイナーさんの勝利です。

では、主人公の内面描写がファンタジーという作品で、自分の中でよかったな、と思うものを探してみました。
一番は、自分の中の名作、山名沢湖さんの短編集「白のふわふわ」でした。

150206白のふわふわ

150206白のふわふわ
主人公がスーパーマーケットでお買いものをしているときに、ふと一瞬だけ自分の世界に入ってしまう描写です。
決して特別な絵ではないのですが、コマの流れで自然と主人公の心の流れもわかるようになっています。
幻にちょっと驚いて→「ああ、これは幻なんだ、でもいいわ」と踏まえたうえで→次のページに行きます。
次のページは、起承転結の「転」のキメとなっています。
音楽で言えば、このページはサビの前の盛り上げる部分というわけです。

150206白のふわふわ
これは上とは別のお話。
山名さんは言葉の選び方やリズムに素晴らしいセンスをお持ちです。
詞のようなモノローグ(一人語り)の響きが、内面世界の描写を補強してくれている気がします。

あと、山名さんの「日常ファンタジー」はまるで藤子・F・不二雄先生のように奇想天外。
それをどうやって面白い話にするのか?そこが読みごたえあるのです。
そういったプロとしての様々な努力が、「自分に酔っている」感を排除しているのだと思います。

150206コトノバドライブ
それと比べると、「コトノバドライブ」は表現が大雑把なのと、アイデアが足りないのだと思います。
「わかる人だけわかればいいんだ」と言っているようで、それが私としてはがっかりする原因のひとつなのだと思います。
やっぱり、マニア向けとはいえ一般誌に掲載されているわけで、自分の世界を押し付けて読者を突き放すだけでなく、誰もが共感する部分とか、「さすがプロだな」と思える要素を入れてほしいな、と思うのです。

ここまで言うのは、この作品に自分の世界の中で生きている自分を重ね合わせて自己嫌悪的なものを感じていて、惜しいと思っているからです。
もっとがんばれば良い作品になるかも、と思うのです。
次回作はファンタジーしないとかバイクマンガでいくとか、「制限やテーマ」を設けたら一気によくなりそうな気がします。
というわけで、次回作に期待です。









テーマ : 漫画の感想
ジャンル : アニメ・コミック

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なお

Author:なお
いいトシしてバイクの免許を取得。
相棒はDUCATI MONSTER696とHONDA solo。
バイク以外の趣味はお菓子作り。
MtXです。

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