テニスボーイの憂鬱の憂鬱

子どもの頃に読んだ村上龍さんの「テニスボーイの憂鬱」という本をときどき思い出します。

(注:もう手元にない本なので覚えている限りで)
主人公は横浜の山の方の地主の息子。
住宅開発で土地が売れ、その資金でレストランを経営する。
経営はうまくいく、憧れのベンツは手に入れた。妻はもう興味がない女だけど息子はかわいい。
そんな彼の生きがいは、仕事でも家族でもなく、テニスと愛人とのセックスだけ。
コンプレックスにまみれた自我から目を背けるかのように欲望に向かってまっしぐらに生きる。

悪い人じゃないのです。気前がよくて人望がある。だから本人も気づかぬまま若くして町の名士になってしまいます。
うだつの上がらない少年が、欲望にまっしぐらに生きて、男として成長していく、というサクセスストーリーでもあります。
でも軽薄。とんでもなく下品で軽薄。
ラストシーンは、確か愛人の堕胎につきあう、という救いの無さ。

中学生が読んでもまったく性欲が喚起されないくらい、セックスシーンなんて色気も愛もへったくれもなく。

今までで軽薄さがここまで心に残る作品は他に知りません。

でもそれが男だろ、と村上さんは言わんばかり。
ときどき、妙に上昇志向の人を見ると、その作品を思い出すのです。

いま思えば、男の欲望の空しさは、この作品で知ったのだと思います。
そこから、欲望一直線な他の男子とズレてしまった気がします。
中学生の時に読むべき本じゃなかったな、とは思います。

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

なお

Author:なお
いいトシしてバイクの免許を取得。
相棒はDUCATI MONSTER696とHONDA solo。
バイク以外の趣味はお菓子作り。
MtXです。

Twitter on FC2
カテゴリ
検索フォーム
リンク
月別アーカイブ
広告1
広告2