we go

その日は、仕事になんか行きたい気分ではなかった。
でも、朝から夜まで東京で撮影だった。

撮影の現場って、私の経験の範囲内でいうと、大変に和やかな雰囲気をみんなで作る。
ムービーもスチールも。
スチールの場合、そこもカメラマンの腕のひとつだ。一流のカメラマンともなると、モデルにあわせて音楽もジョークも変えてくる。
ムービーの場合は、皆大変なんだけど、皆で無理しても作る。
だって、そうじゃなかったらいい画なんか撮れない。気分よく仕事できる環境を作るのもスタッフ全員の仕事なのだ。それは立ち会うスポンサーですらもだ。

あるカットにてこずった。演技をする人は、モデルで演技に慣れていないのと、ライティングの制限で細かい動きにも指示が出たからだった。
数テイク繰り返し、やっと良いものが撮れた。
チェックのために皆がモニターに集まってきた。

すると皆が見つめるモニターになぜかデリート確認メッセージが出てきた。「削除/キャンセル」ってやつ。
当然「キャンセル」が選ばれるはずだ。デフォルトでそうなっているし。OKボタンを押せばいいだけ。
でも、「削除」が選ばれ押され、デリートインジケータが一瞬表示された。
一同茫然。

カメラを操作するカメラマン アシスタントの子が叫ぶ、「す、すみません!」

確認してもやっぱりデータは削除されてしまっていたのだった。
監督は笑って云った。「俺、長い事やっているけど、こんなの初めてだよ。こりゃあ次のテイクでもっといい画が撮れるって神様が言ってんだ、やるぞ!」
一同が「おお!」と返す。

アシスタントの子は、さすがにカメラマンから「これが夕日とかさ、田舎の列車とかさ、一日のうちで1回しかないチャンスだったらどうするんだ。気をつけろよ」とか怒られてたけれど、なにもなかったようにチームは動く。

監督はきっとこれが初めてだなんてことはないだろう。
あえてそう云って場を和ませたのだろう。
それも監督の仕事なのだ。

ちょっとしたトラブルだったけれど、私は妙に良い気分だった。
なにもかもこんな感じで仕事できたらいいのにね。

advantage Lucy「we go」

テーマ : 日々のつれづれ
ジャンル : 日記

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

なお

Author:なお
いいトシしてバイクの免許を取得。
相棒はDUCATI MONSTER696とHONDA solo。
バイク以外の趣味はお菓子作り。
MtXです。

Twitter on FC2
カテゴリ
検索フォーム
リンク
月別アーカイブ
広告1
広告2