FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

彼岸を超えて(「少女終末旅行」感想メモ)

まだ読み込みが足りないのと、考察が足りないので感想メモ。

■終末世界と楽園
私曰く「終末世界楽園モノ」というジャンルがある。ディストピアとはちょっと違う。
彼岸への憧れの甘い部分だけを抜き出したような、そんな感じ。
諦めることで人間の良いところだけ残るような、そんな感じ。
私はそういうの嫌いだった。
だって人間が諦めるなんてあるか?それに追い込まれれば追い込まれるほど嫌なところが残るのが人間だ。
だから「ヨコハマ買い出し紀行」とか。最初は「お」と思ったけれど、話が進むうえで自慰的閉塞感がひどくて吐き気すら覚えるようになった。


■アニメ版の意図と役割
アニメ版の「少女終末旅行」も最初そのジャンルかと思っていた。
いかにもなアイテムと絵柄だったから。
「少女終末旅行」は確かに「終末世界楽園モノ」ではあった。でも徹底的に絶望に裏打ちされた楽園だ。
確実に人類の絶滅は決定している。主人公二人もわかっている。
アニメ版は、「終末世界楽園モノ」としての体裁をとって、エンターテインメントとして原作4巻までのエピソードで完結している。

アニメ版でも最後に神様(エリンギ)から、もう生きている人間は二人だけということと(イシイとカナザワは死んだのだ)、地球が終わることを宣告される。
ここでもちゃんと将来的な絶望で終わっている。

でも主人公二人にとってはどうでもいいことなのだ。はじめから絶望世界に生きてるんだから。
アニメ版はエンターテインメントとしてそういう意味でうまい作りだ。幼い子が見ても主人公たちの旅が続くことで絶望しないで済む。
すごくよく作られている。渾身の作品だ。
アニメ版を読んでから原作5巻から読んでみるのが良いくらいだと思う。

アニメ版は原作に続いていることがわかる。
むしろ原作を読んで欲しい、とクリエーター側も願っているように感じた。
なぜなら主題歌の歌詞の放映されなかった2番にある。
「温かいコーヒーすするように ずっと待った甲斐 それがいま示すから」
原作の最後で主人公が飲んだのはコーヒーで、待っていたのは彼岸だったのだと思う。


■神様
この作品には人造の神様が出てくる。
ひとつは人工知能で、その目的は機械と人間との仲立ちだという。「双方の価値を折衝して安定した方向に導く」とのこと。つまり機械と人間の対立があったのだ。
しかし上手くいかなかったらしい。自らを「失敗作」として主人公たちに自殺ほう助させて「死ぬ」。

もうひとつは、エリンギ(仮称)だ。
これが人間から崇拝されていたことが、旅の中でわかっている。
でも、これもきっと人造のものだ。
主人公らがタイフーン級潜水艦レプリカの中で見た、過去のカメラ映像にあった「機械進化論研究会」の成果。あれの系譜だろう。
エリンギの目的は、人間によるエントロピー増大の阻止だ。
人間が創った熱的に不安定な物質(燃料や火薬)を安定化してまわっているようだ。
つまり、人間は自らの終息を願い、エリンギに託し、神として崇めた。
滅亡は人類の意思だったようだ。
…主人公らが昔いたコミュニティの騒乱を思えば、そんなことしなくても勝手に絶滅したと思うが…

そして、おそらく人類の後継者たるべき機械=神は、No.3ロケットで宇宙へ旅立った。


■死ぬということ
物語は44話から急速に収束へ向かう。
それまでのお気楽感が消え、悲壮感が漂うようになる。
物資は底を尽き、大切にしていたものを捨て、生きていた証ともいえる日記すら燃やし、暗闇の螺旋階段を上って目的地を目指す。
そこに理由はない。ただ死ぬため、とも言える。
でもそれが生きるということだと、二人が教えてくれる。

「生きるのは最高だったよね…」「…うん」

新しい朝を迎えた二人は目的地で抱き合って眠る。
旅してきた巨大な階層都市の風景と崇められてた神々が何ページにもわたり描かれ、そして、二人が消えている。
神と出会ってしまった二人に天国も地獄もない。
きっと二人はこの終わる惑星にある瓦礫の都市の一部になったのだ。


■人類の終焉と音楽
実は私は前から人類は終了するだろうと思っている。
機械や人工知能に引き継いで。
あまりにも人間は機能的に愚かだ。そういう風にできている。
その限界を超えることはできない。

そしてとうとうエンターテインメントとして、それを描く作品に出会えた。
人類の終焉は確信に変わっている。

昔、落ち込んだプロミュージシャンを慰めるべく一緒にお酒を飲んだ時、その人が言った言葉がずっと心に残っている。

「この世に価値があるものなんて音楽しかないと思わない?」

そう、この物語で、神様(エリンギ)が人類から受け継いだただひとつのもの。
それは音楽だった。

テーマ : 感想
ジャンル : アニメ・コミック

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

なお

Author:なお
いいトシしてバイクの免許を取得。
相棒はDUCATI MONSTER696とHONDA solo。
バイク以外の趣味はお菓子作り。
MtXです。

Twitter on FC2
カテゴリ
検索フォーム
リンク
月別アーカイブ
広告1
広告2
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。