時間を描く

あずまきよひこさんの「よつばと!」12巻を読みました。
とっても好きなマンガです。
よつばと! 12 (電撃コミックス)よつばと! 12 (電撃コミックス)
(2013/03/09)
あずま きよひこ

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元気いっぱいな5歳の女の子の日常を、笑いをまじえて描いたお話です。
本当によい話なのですが、今日はそこではなく、作風に焦点を当てて書いてみたいと思います。
きっとストーリーの素晴らしさは他の人が十分に語っていると思いますからね。

1巻と読み比べてみました。基本的に作風は変わらないのですが、より抒情的になり、お笑いが薄くなっているように感じました。
この作品は、連載10年だそうですが、12巻にして作中の時間は夏から秋にまでしか変化していません。
それくらい、ゆっくりと時間が流れています。
でも、まったく飽きません。

それは、主人公の女の子にとっての毎日の発見という話の基本からくるところが大きいことはありますが、それを実現しているのは、マンガとしての表現力だと思うのです。
私は、構図とコマ割りで読ませる作品が好きなのですが、「よつばと!」はそこがすごいと思っています。
そして1巻との違いと感じた抒情性は、画風の変化による説得力の差によって生み出されたものだと思います。

たとえば12巻には12ページにわたるプロローグが入っています。
台詞らしいセリフは無くて、主人公が暮らす街に秋の訪れを告げる渡り鳥がやってくるというシーンなのですが、これは1巻の画風ではできないと思います。1巻の絵ではポップすぎてしみじみできないのです。
また12巻収録の第79話「よつばとヘルメット」のエンディングの5ページ。
眠りにつく主人公と寝かしつけるお父さんのシーン。
ただ「子供が眠りにつく」だけのシーンに5ページ割き、それを読ませてしまう構図とコマ割り、なにげない会話のやり取りに溢れる未来への期待、眠りについた娘を見守る父の背中が語る何か。
それを実現する画力。いろんな方向から人物の絵を描けないとこれはできません。映画では簡単だけど、絵だとこれが難しい。
これもまた1巻のときの絵ではできません。
なにげなくですが手法が変わっているのです。

この手法で作者の狙うところはどこでしょう?
やっぱり時間だと思います。
子どもの頃の永遠にあると思っていた時間。一日が、一年が、今よりずっと長かった。
そして、それが、自分もかつて愛されていた子供だったことを思い出せるストーリーと相まって、この作品を名作にしていると思うのです。
ちょっとマニアックな読み方ですが、1巻から揃えている方も多いと思いますので、よかったら読み比べてみてくださいね。



話が「よつばと!」から離れますが、マンガの面白いところって、時間ですよね。
一瞬の心理描写が数ページにわたって長くなったり、コマとコマの間の見えてない時間に意味があるような、そんなのがマンガの醍醐味なのかもしれません。
それで思い出すのは高野文子さんです。高野文子さんの作品は、どれもほんとうに素晴らしいと思います。
高野作品の素晴らしさはまた機会がありましたら、ということで。
棒がいっぽん (Mag comics)棒がいっぽん (Mag comics)
(1995/07)
高野 文子

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テーマ : 漫画の感想
ジャンル : アニメ・コミック

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なお

Author:なお
いいトシしてバイクの免許を取得。
相棒はDUCATI MONSTER696とHONDA solo。
バイク以外の趣味はお菓子作り。
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